【MSC・ASC】環境にやさしい水産物という選択肢を加える
『MSC認証』『ASC認証』というものをご存じでしょうか。
先日、かつおフレークの缶詰を購入したところ、パッケージに『MSC認証』と書かれたラベルがついていました。
持続可能な漁業で獲られた水産物に対してつけられる認証マーク、とのことです。
今回は、天然水産物で用いられる『MSC認証』や、養殖水産物で用いられる『ASC認証』について取り上げます。
環境にやさしい水産物というものの理解を深め、商品を選ぶ際の選択肢の幅を広げていきたいと思います。
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MSC認証とは
魚、貝、エビなどの海の生き物は、海の生態系を守った上で適切な量を獲るならば、いつまでも食べ続けることができます。
適切な量を超えて獲り続けると、取った魚介類そのものが減るだけではなく、その魚介類を餌として生きている個体まで減ることになります。
これが続くと、これまで食べてきた海の生き物を将来にわたって食べることが難しくなってしまいます。
そこで、「持続可能で適切に管理された漁業の普及」を目的として設立された国際非営利団体が、MSC(Marine Stewardship Council:海洋管理協議会)です。
1997年に設立され、本部はロンドンにあります。2007年に日本事務所が開設されました。
MSCは、以下の3つの原則をもとに、持続可能な漁業であるかを審査しています。
原則1:資源の持続可能性
過剰な漁獲を行わず資源を枯渇させないこと。枯渇した資源については回復を論証できる方法で漁業を行うこと。
原則2:漁業が生態系に与える影響
漁業が依存する生態系の構造、多様性、生産力等を維持できる形で漁業を行うこと。
原則3:漁業の管理システム
地域や国内、国際的なルールを尊重した管理システムを有すること。また、持続可能な資源利用を行うための制度や体制を有すること。
これらの審査基準を満たした漁業による水産物であることの証が、海のエコラベルであるMSC認証のマークです。
消費者は、MSC認証ラベルがあることで、この水産物は水産資源や環境に配慮したものなのだと確認することができます。
これらの商品を選ぶことで、厳しい取り組みを行っている漁業者を支え、海の環境の持続可能性を守ることにつながります。
こちらの動画にMSCのことが詳しく取り上げられています。
この動画の中で、MSC認証を受けた漁業を行う漁師さんが、
「主婦の方がスーパーでMSCの商品をみたときに、この商品は環境を守るんだと、自然とMSCの商品を選んでもらえたらありがたい」
との旨の話をされていたことが印象的でした。
<参考元>
養殖による水産物はASC認証
MSC認証は天然物に対するものですが、養殖物に対するものもあります。
ASC(Aquaculture Stewardship Council:水産養殖管理協議会)の認証制度です。
ASCは、2010年に設立された国際的な非営利団体です。
世界の水産生産量のうち、約半数を養殖が占めるようになってきています。
ところが、養殖水産業には、海洋環境の悪化、餌となる天然魚の過剰利用、養殖魚の逃避による生態系のかく乱など、海の環境に悪影響を及ぼすケースがありました。
また、児童労働や奴隷労働など、労働者の人権を侵害するような形で養殖業が行われるケースもあり、国際問題になっていました。
そこで、環境に大きな負担をかけず、地域社会や労働環境にも配慮した養殖業を推進するために、ASCの認証制度が始まりました。
消費者はこのマークにより、その水産物が環境や社会に配慮した方法で養殖されたものであることがわかります。
これらを購入することで、持続可能な形で養殖に取り組む業者を支え、環境や社会を守ることにつながります。
<参考元>
養殖版海のエコラベル「ASC認証」について |WWFジャパン
サステナブル・シーフードの選択と食費予算の問題
筆者が今回購入したカツオフレークの缶詰と冷凍のあさりのむき身は、イオングループのプライベートブランド「トップバリュ」の製品でした。
イオングループは、10年後、20年後を考えて、「サステナブル(持続可能な)シーフード」を推進しています。
その取り組みとして、MSC、ASCの認証商品のラインナップを増やしています。
イオンのように、サステナブル・シーフードを購入できる場所は、年々増えてきています。
筆者自身もこの取り組みにとても共感できるので、もっと購入していけたらと思います。
ですが、これらの商品は少し割高な印象があるため、日常的に購入しようとしたときに家計に与える影響も気になるところです。
参考までに、今回筆者が買ったトップバリュの商品の価格をみていきましょう。(2020年10月28日時点)
ASC認証の冷凍のあさりのむき身230gは、本体価格298円でした。思ったほど高くはないかな‥。
カツオフレークは、MSC認証の商品は本体価格105円でした。比較のため、カツオフレークの一番お値段が安いトップバリュ・ベストプライスの商品では本体価格63円でした。
カツオフレークの缶詰では、MSC認証の商品の割高さ(ベストプライスの商品の格安さ?)がありました。
2商品だけではまだなんともいえないので、11月の食材購入の際に、魚介類はなるべくMSC認証・ASC認証のものを選んでいき、それらの価格や家計に与える影響を調べてみようと思います。
家計にそこまで負担なくできるなら、積極的に購入していきたいと思うのですが、どうなるでしょうか。
家計管理も大事ですが、海の環境も大事なので、両立できる道を探っていきたいと思います。
◇◇◇◇◇
今回は、水産物についていた『MSC認証』『ASC認証』のお話でした。
こういう表示ってけっこう見逃してしまうもので、筆者は今回調べるまでよく知りませんでした。
水産物を選ぶ際に、金額や種類だけではなく、環境・社会にもやさしいかどうかという判断基準も加わり、少し視野が広がったような気がします。
やみくもに支出を控えるだけの節約ではなくて、必要なお金は支払い無駄はなくすという考えで、家計改善を進めていきたいですね。
こういうことを考えていると、そもそも魚を食べないというベジタリアンやヴィーガンを選択をする人の気持ちも、少しわかるような気がしました。
ちなみに、2020年10月1~30日まで、第7回サステナブルシーフード・ウィークが開催されています。今年のテーマは「おうちから守る魚の未来」です。
サステナブル・シーフードで作ったスープレシピが紹介されており、その料理をtwitterに投稿すると抽選でプレゼントがもらえる企画もあります。
筆者もスープを作って応募しようと思います♪
ご興味のある方は、以下のサイトをご覧ください。
MSC・ASC認証についての記事はこちらのカテゴリーにまとめています。