【MSC・ASC】大手スーパーの認証つき水産物の取り扱いについて
スーパーの水産物で見かけるようになってきた、『MSC・ASC認証』というマーク。
前回の記事でも取り上げたのですが、環境にやさしい漁業で獲られている水産物に対してつけられているマークです。
これらの水産物を購入するにあたって、スーパーでの取り扱いはどのようになっているのか気になりました。
今回は、2大スーパーであるイオンとイトーヨーカドーの、MSC・ASC認証の水産物の取り扱いについて取り上げます。
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MSC、ASC認証のおさらい
前回の繰り返しになりますが、MSC認証とASC認証についておさらいします。
未来にわたって海の恵みをいただくには、海の環境を守ることが必要です。
魚を過剰に獲ることによる個体数の減少、それにより引き起こされる生態系の乱れ、養殖時の過剰な餌やりによる水質の悪化、人権侵害した形での労働などが、国際問題になっていました。
そこで、サステナブル(持続可能な)・シーフードの重要性が認識されるようになりました。
サステナブル・シーフードであることを審査する代表的な国際非営利団体は二つあります。
天然水産物に対する団体はMSC(Marine Stewardship Council:海洋管理協議会)で、養殖水産物に対する団体はASC(Aquaculture Stewardship Council:水産養殖管理協議会)です。
ここで審査基準を満たし、サステナブル・シーフードであるお墨付きが得られた水産物に対して、MSC・ASC認証がつきます。
2015年に国連で採択された持続可能な開発目標(SDGs)は記憶に新しいと思います。
その14番目が「海洋と海洋資源を保全し、持続可能な形で利用する」という目標です。
このSDGsという国際目標により、海の環境の持続可能性も一層認識されるようになってきています。
SDGs(エス・ディー・ジーズ)とは? 17の目標ごとの説明、事実と数字 | 国連広報センター
イオンの取り組み
目標
2017年4月のイオン株式会社のニュースリリースで、「水産物の持続可能な調達2020年目標」として、以下の内容が発表されていました。
- イオン(株)連結対象の総合スーパー、スーパーマーケット企業で、MSC、ASCの流通・加工認証(CoC)の100%取得を目指す
- 主要な全魚類で、持続可能な裏付けのあるプライベートブランドを提供する
参考元:イオン株式会社ニュースリリース(一部抜粋)2017/4/19
MSC・ASC認証水産物の取り扱い状況
現在、イオンで販売されている水産物の100%で認証マークがついているわけではありませんが、取り扱いは増えてきているようです。
イオンのネットスーパーの商品検索で「MSC」で調べたところ19件、「ASC」で調べたところ5件の商品がヒットしました。うち2件はパック寿司でMSC・ASCの両方の記載がありました。
甘エビ・サーモンなどの鮮魚や、煮つけ・エビチリなどの総菜、おにぎりや寿司などです。クリスマスの予約商品で、MSC認証のホールのロブスターまでありました。
先日筆者が購入した、カツオフレークの缶詰(MSC認証)と冷凍のあさりのむき身(ASC認証)も、イオンのトップバリュの商品でした。
これらはネットスーパーでは取り扱いがなかったので、ネットスーパーと実店舗とで、商品ラインナップが少し異なるようですね。
昨年のサステナブル・シーフード・ウィークのページに、2019年8月時点でのイオンが取り扱っているMSC認証魚種は24種、ASC認証魚種は10種であることが取り上げられていました。
イオンでは、様々な種類の認証ラベルのつきの魚介類を取り扱っていることがわかります。
これからもMSC・ASC認証商品を積極的に取り扱っていくとのことなので、今後イオンの魚売り場で認証マークのついた商品がますます増えていくことと思います。
ちなみに、筆者はダイエーをよく利用していますが、イオン系列なので、ダイエーでもトップバリュのMSC・ASC認証の水産物を購入することができます。
イトーヨーカドーの取り組み
目標
2019年5月の株式会社セブン&アイホールディングスのニュースリリースで、『GREEN CHALLENGE 2050』という環境宣言をされていました。(イトーヨーカドーはセブン&アイホールディングスのグループ会社です)
その中で、自然共生型社会を目指すにあたって、持続可能な調達に取り組んでいく旨が書かれていました。
そこで、2030年、2050年に向けても目標として、以下のような発表がありました。
2030年の目標
オリジナル商品(セブンプレミアムを含む)で使用する食品原材料は、持続可能性が担保された材料50%使用。
2050年の目標
オリジナル商品(セブンプレミアムを含む)で使用する食品原材料は、持続可能性が担保された材料100%使用。
参考元:株式会社セブン&アイ・ホールディングスニュースリリース2019/5/8(一部抜粋)
セブン&アイグループの環境宣言『GREEN CHALLENGE 2050』4つのテーマを定め、2050年までに実現を目指します。 | 企業情報 | セブン&アイ・ホールディングス
イオンが2020年までに100%にしようとして動いていたのに対し(実現はしていませんが‥)、セブン&アイホールディングスは2050年までに100%を目指す、とのことですね。
MSC・ASC認証水産物の取り扱い状況
イトーヨーカドーのネットスーパーで、MSCで検索したところ1件もありませんでした。ASCで検索したところセブンプレミアムのバナメイ海老の取り扱いがありました。
(ただし、筆者に近い店舗で検索したので、すべてのイトーヨーカドーのネットスーパーでそうだとは限りません)
昨年のサステナブル・シーフード・ウィークのページには、2019年8月時点でイトーヨーカドーでは、MSC認証の「7プレミアムさばの味噌煮」「7プレミアム辛子明太子」、ASC認証の「養殖かき」などが取り扱われているとのことでした。
ネットスーパーでは取り扱いは少ないけれど、実店舗ならもう少し取り扱い種類もありそうですね。
イトーヨーカドーでは、MEL認証の商品も取り扱っているようです。MEL認証は、マリン・エコラベル・ジャパン協議会による、日本発の世界が認める水産エコラベルとのことです。
一般社団法人として、2016年に設立されています。
イトーヨーカドーは、MSC・ASC認証取得以外にも、MEL認証取得にも力を入れているようですね。いろんな認定団体があるんですね。
◇◇◇◇◇
今回は、実際にMSC・ASC認証の水産物を購入するにあたって、大手スーパーでの取り扱いはどのようになっているのか取り上げました。
MSC・ASC認証の取り扱いが多かったのはイオンでした。イオン系のスーパーで買い物すれば、MSC・ASC認証がついた水産物だけ購入する、という買い物スタイルも実現できそうです。
筆者がよく利用するオーケーストアでは、ざっとみたところ取り扱いがありませんでした。「Everyday Low Price」のディスカウントスーパーなので、低価格を維持するところに力を入れているのでしょう。
オーケーストアで魚のパッケージをみると「魚を食べて応援」と書いてありました。認証マークがついていないからといって、その魚がだめなんてことはなくて、どんな魚にも命があり、いろんな人の尽力の末にスーパーに並んでるんですよね。
そう思うと、認証ラベルがついているものも、ついていないものも、ありがたいものです。
イトーヨーカドーでの取り扱いは少なかったのですが、イトーヨーカドーでは独自のペットボトル回収システムがあったりするので、持続可能性に向けたの取り組みの力の入れ方はスーパーによって異なります。
オーケーストアではMSC・ASC認証の取り扱いが見たところありませんでしたが、品質を保ったまま価格を安く抑えるというところに対して、実に誠実に取り組んでいます。筆者はオーケーストアも信頼しています。
今回認証ラベルについて取り上げてみて、選択肢の幅が広がればよいなと思いました。
MSC・ASC認証についての記事はこちらのカテゴリーにまとめています。