【FSC】森林にやさしい製品、身の回りにも増えています。
木のような形のFSC認証マークというものをご存じでしょうか。
先日、持続可能な水産物の管理をする団体であるMSC・ASCが主催する、サステナブルシーフードウィークというイベントがありました。
そこで、ASC認証のあさりスープを作って応募したところ、キッチングッズを頂きました。
その木製キッチングッズに表示されていたのが、FSC認証マークです。
このマーク、なんとなく見たことのあるような気がしますが、これまであまり意識したことはありませんでした。
この機会に、FSCについて学んでいきたいと思います。
自宅の中を見渡すと、FSC認証マークがいろんなところに登場していることに気がつきます。
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FSCとは
FSCとはForest Stewardship Councilの略で、日本語では森林管理協議会となります。
FSCのサイトによると、団体の概要が以下のように書かれています。
FSC(Forest Stewardship Council、森林管理協議会)は責任ある森林管理を世界に普及させることを目的とする、独立した非営利団体であり、国際的な森林認証制度を運営しています。
環境保全の面から見ても適切で、社会的な利益にかない、経済的にも持続可能な森林管理を理念とし、森林が急速に破壊されている状況を背景に、1994年、環境団体、林業者、林産物取引企業、先住民団体などが中心となって設立されました。
責任ある森林管理から生産される木材とその製品を識別し、それを消費者に届けることで、責任ある森林管理を消費者が支える仕組みを作っています。
FSC認証は、多くの消費者、環境団体、企業などから支持を集め、世界で最も信頼度の高い森林認証制度として国際的に認められています。
〈参考元:FSC®について〉
以前取り上げたMSC・ASC認証は、海環境を守った漁業や養殖業による水産物に対してつけられる認証制度でした。
FSC認証とはその木材版であり、つまり、環境・社会・経済的にも持続可能な森林管理の元で得られた木材に対して、それを消費者にわかりやすく示すために作られた、認証制度ということです。
企業側としては、この認証マークの付いた木材で商品を作るすることで、森林を守ることにつながりますし、企業の環境に対する姿勢をわかりやすく消費者に伝えることができますね。
消費者側としては、FSC認証マークを確認することで、環境や社会への負荷の少ない木材やその製品を選ぶことができます。消費行動から、森林を守ることができるというわけです。
Stewrdshipの意味する「管理」のとは
Forest Stewardship Councilの「Stewrdship」という言葉ですが、この言葉は一般的な「管理」を意味する「Management」とは異なります。
そのことについて、FSCのサイトでは以下のように書かれています。
Stewardには執事や給仕という意味がありますが、Stewardshipとは、所有者や支配者としてトップダウンで管理するのではなく、資源を預かる者として責任をもって管理し、それにより仕える、奉仕するという意味が含まれます。ここには、我々人間は森林や自然の支配者ではなく、自然に仕え、その自然を預かり管理するものであるという哲学が表れています。
〈参考元:ビジョンとミッション(一部抜粋)〉
MSCやASCについて取り上げたときにも、Stewardshipという言葉が出てきました。
MSC、ASC、FSCはそれぞれ、Marine/Aquaculture/Forest Stewardship Councilとなります。
日本語では「管理」となりますが、支配的な意味ではなく、自然に仕えるという意味合いであるということですね。
このStewardshipという概念、100年前には登場しなさそうな言葉だな、と思いました。
急速な経済発展の裏で生じた環境破壊。
2015年の国連食糧農業機関(FAO)の報告によると、天然林は1990~2015年の間に平均で年間650万ha減少しており、これは3.5秒ごとにサッカー場一面分の天然林が減少していることになります。
〈参考元:世界の森林問題とFSCの価値〉
こうした環境破壊に対する反省の思いも、Stewardshipという言葉に表れているのだろうと思います。
自然の流れを尊重するという大前提があり、その上で適切に管理しつつ、人類と共生していく道を探っていく。そして、次世代につないでいく。
これからこういう考えが、あらゆる場面で当たり前になっていくのだろうなと感じました。
身の回りにあるFSC認証のもの
FSC認証を知ったところで、家の中のあちこちを見てみると、いろんなところにFSC認証マークがあります。
キットカットの大袋の紙パッケージ
ネスレの『キットカット』の大袋タイプの外袋が、紙パッケージで販売されるようになっています。
その紙パッケージがこちらです。
裏を見ると、FSC認証がついていました。
これはネスレの、海洋プラスチックごみの課題に対する取り組みの一つです。
2019年秋からキットカットの大袋の外袋に、徐々に紙パッケージが採用されるようになりました。2020年秋にはほぼすべての大袋タイプの外袋が紙パッケージになっています。
FSC認証マークがあることで、「この紙パッケージは、きちんと管理された森林の木質資源から作られていますよ」ということが、消費者にもわかりやすくなっています。
ネスレのパッケージ素材の変更についての詳細は、以下のプレスリリースをご覧ください。
2020年秋より「キットカット」のほぼ全ての大袋タイプ製品の外袋を紙パッケージへ変更| ネスレ日本
<ネスレ日本・プレスリリース/2020年9月30日>
牛乳パック
こちらイオンのプライベートブランドの、トップバリュの牛乳パックです。
筆者は節約のためスーパーにある最安値の牛乳しか買いませんが、ダイエーで買ったトップバリュの中でも一番安かった牛乳にも、FSC認証マークがついていました。
株主通信
株主通信にもFSC認証が表示されていました。
企業の環境に対する姿勢を、こういうところからも伺い知ることができるというのは、発見でした。
そもそも紙ベースのものが必要なのかという疑問はありますが、紙での株主通信を使っている現状においては、その資源が持続可能な木材であることにこしたことはないかな、と思います。
◇◇◇◇◇
今回は、FSC認証について取り上げました。
上記にあげた例の他にも、マクドナルドやケンタッキーフライドチキンのパッケージや、カリモクの家具素材など、さまざまなところにFSC認証の資源が使われているようです。
今後ますますFSC認証の製品が増えていくでしょう。
そういう視点でスーパーの商品の変化していく様を眺めていくのも、おもしろいですね。