ある少年の憂鬱。こういう経験を積んで大きくなるんだな。
娘と公園で遊んだ帰り道。
後ろで小学校低学年の男の子が、「どうしようかな。どうしようかな。」と大きな声で言いながら一人で歩いていました。
とても気になったので声をかけました。
日常のちょっとした心配事でしたが、当人にとっては大きなことです。
今回は、ある少年が真剣に考えているところにたまたま立ち会ったお話です。
こういう経験を積み重ねて成長するんだよな~と感じ、「少年、頑張れ!」と思いました。
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ドーナツが4つで、人は5人
「どうしようかな。どうしようかな。」
少年があまりに大きな声で独り言を言っているので、どうしたのか聞いてみました。
「ドーナツが4つあるんだけど、人は5人いるんだよ。」
どうやら、これから公園でお友達と遊ぶのだけれど、お母さんからおやつに持たせてもらったドーナツは4つなのに対し、遊ぶメンバーは本人含めて5人いるとのことでした。
手には小さな個包装のドーナツが4つ握られています。このまま公園に行っても、皆で食べるにはドーナツが1つ足りないのです。
なるほど。筆者も公園に行ったときに、子どもの人数に対しお菓子が足りなかったら、どうするだろう‥。
そこで筆者のアイデアをいくつか提案してみました。
「ドーナツを半分に割って、半分ずつ食べて、残りは自宅に持ち帰るというのはどうかな?」
「残りを自分で全部食べちゃうってことでしょ?うーん。。」
自分だけが多く食べることに納得のいかない様子。
「お菓子を渡さないで、そのまま持ち帰るとかは?」
「それはなぁ。。」
お母さんからドーナツを持たされていたので、そのまま持ち帰ったら、お母さんに指摘されてしまうのかもしれません。
「そうだ!この中で一番大きいと思うのはどれ?」
と、少年は手の中のドーナツを見せてきました。
工場生産のドーナツですし、筆者にはどれも同じ大きさに見えます。
試しに5歳の娘にどれが一番大きいか聞いてみたところ、一つのドーナツを指さしました。
「これをぼくが少しだけ食べて、あとは友達に分ければいいかも!」
大きめだと思われるドーナツを少年が少しだけかじり、その残りと、丸々残っている3つのドーナツを友人に分ける、ということを思いついた様子でした。
そんな話をしながら分かれ道に差し掛かり、少年は最後に一言だけ言い残して、公園に走ってきました。
「あー!一人来なかったらいいのにな!」
他の選択肢を考える
この出来事を自宅でも話しました。
小学生の兄たちからは以下のようなアイデアがでました。
- とりあえず半分にして皆で食べる。残りはじゃんけん大会で勝った人にあげる。
- 自分は食べないで、お友達4人にあげる。家に帰ったあとに、自分の分のドーナツを買ってもらう。
筆者は少年と話していたときに、筆者が持っていた手持ちのお菓子をあげて、ドーナツの足しにしてもらおうか、とも少し考えました。
でも、コロナ禍というのもあるし、見ず知らずの人からのお菓子はよくないかなと思い、やめました。
少し考えるだけでも、さまざまな方法があります。
少年が公園で結局どのようにドーナツを分けたのかは、様子を見ていないのでわかりません。
どのような方法をとったとしても、4つのドーナツを5人で食べた経験は、その少年の人生経験の一つになるでしょう。
小さな一つの壁にぶつかっている少年と出会って、人が成長する一場面に立ち会えた気がしました。
こういう壁は誰にもあるよね
集団でいるときにちょっとした壁にぶつかって、そこにいる皆がよりよく過ごせる方法を考え抜くという経験は、これからの人生でも何度もあると思います。
筆者自身も、全体のよりよさを考えて立ち止まってしまう場面が、今でもたびたびあります。
経験が生かされることもあれば、通用しないことも。
うまくいったらそれを基にして、うまくいかなかったら改善し、すべての経験を糧にする。
試行錯誤しながら、一歩一歩進めていくということなのでしょうね。
そう思うと、目の前にいる少年も、筆者も、それほど変わらないものだなと思いました。
◇◇◇◇◇
今回は、少年が数の少ないドーナツをお友達とどのように分けようか、真剣に考えている場面に立ち会ったお話でした。
少年が、自分の気持ちを自分の言葉で的確に表していた様子にも、感心しました。
なかなかこういう出会いはあるものではありませんね。
まるで旅の最中のような気持ちになりました。